
AGAとは?

男性型脱毛症
最近よく耳にするようになった「AGA」。
これはいったいどんな状態のことを言うのでしょうか?
AGAは、男性型脱毛症(AGA= Androgenetic Alopecia/最近はMPHL=Male Pattern Hair Loss)のことで、思春期以降に生え際やツムジ周辺部のどちらか一方、または両方が薄くなり、進行していくのが特徴です。
その部位のヘアは次第に産毛化して細く短くなっていきます。
男性ホルモンとAGA
AGAは男性ホルモンの影響で起こります。
男性ホルモン(テストステロン)が毛母細胞の5α-リダクターゼという酵素の活性によって、ジヒドロテストステロン(DHT)に代わり、これが頭髪の成長を抑制するために起こります。
俗に「男性ホルモンの量が多いと薄毛になる」といわれますが、男性ホルモン量の問題というよりも、それに反応する酵素の過敏性の問題によることがわかっています。

図1 男性ホルモンに反応する酵素の過敏性
ヘアサイクル

図2 毛周期
ヘアサイクル(毛周期)
ヘアには"寿命"があり、2〜6年かけて成長しては抜け落ち、しばらく休んでは再び生えてくるというサイクルをくり返しています。これを「毛周期」または「へアサイクル」と呼び、一生涯の総サイクル数は決まっています。
頭髪の場合、ヘアサイクルは髪が伸びる「成長期(アナゲン)」→髪の成長が減速する「退行期(カタゲン)」→髪が抜け落ちるのを待つ「休止期(テロゲン)」の3段階に分けられます。
ヘアサイクルの乱れがAGAの引き金
一生涯にわたってこのヘアサイクルがきちんと守られていれば、薄毛になることはありません。
AGAはこのヘアサイクルが乱れることで起こる進行性の脱毛症で、ヘアが次第に細くなってサイクルが短くなります。毛包数はその最終段階までほとんど変わりませんが、ヘアサイクルの総数を使い果たした時点で初めて、毛包はなくなってしまうわけです。
※毛包(もうほう)とは、頭皮の内側で毛根を包んでいる皮膚組織で、毛嚢(もうのう)ともいいます。 毛根を生成・保護して抜けないように支持する、毛髪が育つうえで重要な役割を持っています。
AGAの進行

ハミルトンノーウッド分類
薄毛に悩んでいる方にとって、将来どこまで薄くなるかは大いに気になるところでしょう。
AGAの進行度は、米国のハミルトン医師と2020年に亡くなったノーウッド医師がつくった『ハミルトン・ノーウッド分類』によってクラス1〜クラス皿の7段階に分類されていて、最終段階(クラス)では側頭部と後頭部の狭い範囲にしかへアが残っていない状態になります。
AGAは必ず進行しますが、進行のスピードには個人差があります。将来どの段階まで進行するかも個人差があって、正確に予測することはできません。

図3 ハミルトンノーウッド分類
女性のAGA

女性型脱毛症はFPHL
近年は薄毛に悩む女性も増加しています。
男性と違い、女性が薄毛になる原因やメヵニズムはまだ正確にはわかっていません。
食事、ストレス、ホルモンなど、さまざまな要因も髪に影響するといわれています。男性型脱毛症の場合は男性のAGAと同じ意味なのですが、女性型脱毛症はFPHL(female pattern hair loss)と呼ばれ、女性のAGA(female AGA : FAGA
)とびまん性休止期脱毛症の総称になっていて、男性型脱毛症と同じ概念の名称ではありません。
びまん性脱毛症も経過や原因によって、急性休止期脱毛(ストレス、過激なダイェット、鉄欠乏性貧血、出産など)、慢性びまん性休止期脱毛(種々の内臓疾患)、慢性休止期脱毛(原因不明)の3種類に分けられます。
FAGAのメカニズムはまだ不明ですが、男性のAGAとは異なるとされていて、これも、男性型と同じ生え際の後退を特徴とする「ハミルトン型」、生え際から頭頂部の真ん中の脱毛が特徴である「クリスマスツリー型」、頭頂部から後頭部全体が薄くなっていく「ルードウィッグ型」の3種類に分けられます。

図4 女性型脱毛症タイプ分類